西洋医学と中医学(または東洋医学)の違いは、西洋医学は臓器の不調そのものを治療していくのに対し、中医学(東洋医学)は身体全体を治療していきます。
西洋医学は科学に裏付けられた、エビデンスを元に発展を遂げてきましたが、中医学(東洋医学)は、2000年の悠久の歴史の中で、積み上げられてきた実践ベースの医学だと言えるでしょう。
今日は西洋医学と中医学の違いに関して、深堀してご紹介していきます。
目次
身体全体を診る中医学

西洋医学では胃の調子が悪い場合には、消化器内科を受診して、胃の働きはどうか?という事を探って行きます。
対して、中医学(東洋医学)では、人間そのものを見て行き、なぜ胃に不調が起こっているのか?という風に考えていきます。
つまり中医学では、例えば風邪という症状一つ取っても、原因は人それぞれで、熱の出方も違うし、頭痛など症状の有無も違う、体質も個々で異なるので、症状に対するアプローチも異なるという考え方をします
不定愁訴に強い中医学(東洋医学)

中医学の最大の特徴は、原因を特定できない症状や、これから悪化して行くであろう、いわゆる『未病』や『不定愁訴(ふていしゅうそ)』と呼ばれる状態でも、症状を和らげることができる点です。
西洋医学の場合、検査で異常が見つかり病気と診断されて、初めて治療を行います。
つまり、「病気の原因」に着目する医学なので、風邪なら細菌、もしくはウイルスが原因だろうといった感じです。
なので例えば、熱が主症状の場合でも、体の痛みの場合でも、基本的に処方される薬のパターンは変わりません。なので、原因がそもそも分からない不定愁訴は、手の出しようがないのです。
また、異常の起きている患部を『手術して取り除きましょう」とすることも、西洋医学の特徴です。
中医学(東洋医学)では、患者の訴えを「望診(見る)」「触診(触る)」といった四診で診察を行い、仮に異常がなくても不調があれば治療対象です。
これからは統合医療の時代

中医学も西洋医学もどちらも良い部分もあり、苦手な部分があります。
これからの時代は、症状や状態によって、相談や診察先を選んでいくことが望ましいでしょう。
例えば、怪我や感染症などの緊急性のある疾患に関しては、外科的治療の西洋医学が適しているでしょう。
また、他にも重度の生活習慣病や、血糖値や血圧が異常なほど高い場合なども、薬でコントロールする必要があるので、西洋医学的な対処法が求められます。
逆に、体質改善や免疫を上げるという事に関しては、伝統中医学(漢方、鍼灸、推拿)が得意とするところです。
2025年問題と騒がれる昨今、医療費の高騰や医師不足により、満足に医療が受けれらない時代が到来することが考えると、身体が悪くなってから病院へいくのではなく、その手前で対処する必要が出てきます。
そういう意味で、中医学(東洋医学)はこれから益々必要とされると考えられます。
お互いの得意とする分野を組み合わせる「統合医療」が新しい医療の形になるのが理想的です。
睡眠と中医学の専門家
依田恭平