薬膳茶の科学的根拠:効果は本当?
薬膳茶を健康のために飲む方は数多くいます。
しかし薬膳茶が初めての方だと「健康に良いっていう科学的根拠はあるの?」など疑問に感じることもあるでしょう。
薬膳茶のルーツは、古代中国。
歴史が裏付ける科学的根拠や、効果的な淹れ方について、国際薬膳茶師 依田恭平が詳しく解説します。
薬膳茶の科学的根拠
薬膳茶の科学的根拠は、長い歴史によっても証明されています。
薬膳とは、もともと中医学(中国の伝統医学)をベースに、生薬や食材などを一人ひとりの体質に合わせて調理された”料理”でした。
この薬膳を応用してつくられたのが、薬膳茶です。
薬膳が体質に合わせた”料理”であるのと同じように、薬膳茶も一人ひとりの体調や旬の素材などを考慮した”お茶”として提供されていたのです。
中医学は、体に巡るものを
- 気:生命エネルギー
- 血:体に栄養を与えるもの
- 水:水分
の3種類に分けました。
そして、この3種類のうち一つでも欠けると体に不調が現れると考えられていました。
そこで重宝されたのが薬膳。
薬膳は「気」「血」「水」すべての巡りを良くして、健康のサポートをしてきました。
薬膳茶にもこの考え方が受け継がれていて、健康に良い成分をお茶として提供するようになったのです。
健康に良い成分を含む素材は、草、豆、花、果実などさまざまです。
一種類だけで煮出すこともあれば、いくつもブレンドしてつくることもあります。
医学がルーツの薬膳は厳しくルールが設けられていたものの、薬膳茶は比較的自由。
どの素材を選ぶかによって、
- 免疫力アップ
- 血行促進
- リフレッシュ
- 体質改善
- 風邪予防
- ダイエット
- 美容
など期待できる効果も変わってきます。
素材の持つ効果、味、用途などを理解しながら、あなただけの好みの薬膳茶を見つけてください。
薬膳茶の歴史【中国】
薬膳茶の科学的根拠は歴史に裏付けされています。
もっとも古い歴史は、中国の南北朝時代。
薬膳がメインだった時代から、薬膳茶として広く親しまれるまで、長い歴史を振り返ってみましょう。
南北朝時代(420~589年)
薬膳について記載されているもっとも古い書物は「本草経集注」。
これは陶弘景が記録したもので、730種類の薬物を食事療法として使った事実が記されています。
たとえば、大豆、海藻、生姜など。今の時代にも通じる食材たちですね。
唐の時代(618~907年)
次に古い書物は「備急千金要方」です。
孫思邈によって書かれ、今でいう”内科”の治療法として動物の臓器が使われていたことを示しています。(人間の目の病気を動物のレバーで治療するなど)
この治療法をベースにして、弟子の孟詵が138種類の薬膳の調理法を「食療本草」にまとめました。
その後、「食性本草」(陳士良)、「茶経」(陸羽)、「煎茶水記」(張又新)など、食事療法に関する本が続々と世に出ました。
宋の時代(960~1276年)
宋の時代には、国家による専門書「太平恵民和剤局方」が出されました。国家が薬膳の科学的根拠や健康への効果を認めたということです。
この本の中には、不調が続くときの「羊肉の団子」、むくみに悩むときの「黒豆粥」、母乳の出が悪いときの「豚足と通草のスープ」など、薬膳の処方についても詳しく記載されています。
金元の時代(1115~1368年)
金元の時代には、薬膳の科学的根拠が広く知られることになります。
陳直が手掛けた「寿親養老書」には、“医者が出す薬よりも、食事による治療のほうが効果が高い”という旨が書かれているほど。
忽思慧の本「飲膳正要」には、食薬230種、図168枚、献立238方という膨大な量のレシピが記されています。
その中で”五味は五臓を調和する、五臓のバランスが良ければ健康な体になる”と、食事と体は密接な関係があることを示しました。
忽思慧は宮廷の太医だったことから、この本をきっかけに営養保健が注目されるようになります。
その後、「営養によって疾病が予防できる」と営養学の専門書として重宝されました。
明の時代(1368~1644年)
明の時代になると、さらに薬膳への理解がすすみます。
李時珍が手掛けた「本草綱目」には、食薬1892種、方剤11000余りが記載されました。この情報は後世にわたり重宝されることになります。
また、姚可成の「食物本草」により、粗食思想が発展することになります。この本には野菜のレシピなどが記載されています。
清の時代(1644~1911年)
清の時代になると、食事療法の本がさらにブームになります。
- 「本草綱目拾遺」:食事療法の大切さに言及
- 「老老恒言」:高齢者のための100種の薬粥などを記載
- 「寿世青編」:食材が体に与える影響などを記載
- 「随園食単」:栄養にも言及しながら数多くのメニューを紹介
このように、薬膳を栄養素の観点から解説する本が普及し、科学的根拠に基づいたレシピも数多く考案されました。
近時代(1911年~)
一般家庭にも広く知れ渡った薬膳の科学的根拠。
1977年、中医薬教育のため、中医薬大学に「中医養生康復専門機関」を設置することが国家によって許可されました。
2003年には、中国の中医薬大学12校の専門家により「中医薬膳学」の教科書を編集。大学の選択科目として学びを深められるようになりました。
現在でも、薬膳の研究は衰えることを知りません。
日本でも薬膳や薬膳茶などで健康維持する方は数知れないでしょう。
薬膳茶の歴史【日本】
古代中国より長い歴史を持つ薬膳ですが、日本に普及したのは仏教伝来の頃といわれています。
今から1500年ほど前ですね。
それまで病気の予防は”神への祈り”がメインでしたが、大陸との交流が盛んにになることで”薬”の大切さが知られるようになりました。
当時の薬は、木の皮や草の根など。これが日本における薬膳・薬膳茶のルーツですね。
飛鳥時代になると、朝廷は薬草の採集や栽培を始めました。
寺院では薬がつくられるようになりましたが、高価すぎて一般の方には手が出なかったそうです。
そこで使われるようになったのが「薬膳」。
料理としてはもちろん、お茶(薬膳茶)として、あるいは薬酒や薬湯として、身近な薬草が人々の暮らしに馴染んでいきました。
中でも薬膳茶は手軽に飲めるため、当時の人々はもちろん、令和の現在も広く親しまれています。
薬膳茶の効果を引き出す淹れ方
薬膳茶を飲むなら、できるだけ効果を高めたいですよね。
薬膳茶の成分を十分に抽出するため、「アイス」「ホット」の2パターンに分けて、おすすめの淹れ方を紹介します。
アイスで淹れる場合
冷たい薬膳茶で飲む場合、このような淹れ方がおすすめです。
1 ティーパック1袋を、大きめの容器に入れる(クールポットなど)
2 その中に熱湯300mlを注ぐ
3 そのまま10分間蒸らす
4 氷や水を700ml程度注ぐ
上記の手順で、冷たい薬膳茶の完成です。
ホットで淹れる場合
温かい薬膳茶をつくる場合、このような淹れ方がおすすめです。
1 お湯を沸かす
2 沸騰したら火を止めて、その中にティーパックを1袋入れる
3 そのまま5~10分間蒸らす
上記の手順で、温かい薬膳茶の完成です。
濃い目が好きな方は、ティーパックを入れたまま軽く煮出してください。
ただ、薬膳茶の種類によっては煮出すと渋くなる場合があるので、時々味をみながら調節しましょう。
おわりに
薬膳茶のルーツは、古代中国の薬膳です。
医学で使われていたので科学的根拠は十分ですが、素材によって効果が異なるので、体質に合った薬膳茶を選ぶことが大切です。
国際薬膳茶師 依田恭平は、一人ひとりに合った薬膳茶を提供するため、無料体質診断をおこなっています。
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