茶瞑想研究家/国際薬膳茶師 依田恭平 オフィシャルサイト

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コラム

2026年6月29日(月)

脳が疲れる本当の理由|「選択権がない」と感じると人は不調になる

依田 恭平
記事の監修・執筆者

依田 恭平(よだきょうへい)
国際薬膳茶師/茶瞑想研究家

思考を整える「茶瞑想」と身体を整える「薬膳」から、心身のバランスを整える専門家。

埼玉県所沢市出身。柔道整復師として都内の治療院で臨床経験を重ねた後、国際薬膳専業資格評審会認定「国際薬膳茶師」の資格を取得。薬膳茶の知見をもとに、3歳から101歳まで幅広い世代の健康相談に携わる。その数述べ52000名を超える。その中で、多くの人が整えようとするほど考えすぎてしまうことに気づく。思考から離れ、五感を通して感覚に戻る方法として「茶瞑想」を体系化。

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脳が疲れる本当の理由|「選択権がない」と感じると人は不調になる

茶瞑想研究家
国際薬膳茶師の依田恭平です。

「仕事を辞めたいけど辞められない」

「本当は休みたいけど休めない」

「変わりたいと思っているのに動けない」

そんな状態が続くと人は大きなストレスを感じます。

実際、慢性疲労や不眠、メンタルの不調を抱える方のお話を聞いていると、その背景には共通点があります。

それは、「自分で人生を選べているという感覚(コントロール感)が失われていること」です。

現代人の不調の原因として脳疲労が注目されていますが、脳を疲れさせるのは情報量だけではありません。

実は「自分には選択権がない」「自由に選ぶことができない」「やらされている」と感じている状態も、脳に大きな負荷をかけます。

今回は、脳が安心するために欠かせない「コントロール感」について解説します。

人はなぜ「自分で選べない」と疲れるのか?

私たちは日常の中で、働く、食べる、休む、人と関わるなど、1日の中で様々な選択をしています。

しかし、その選択が自分の意思ではなく、

  • 他人やらされている
  • 義務で仕方なくやっている
  • 強制されている
  • 他に選択肢がない

と感じ始めると、脳は強いストレスを感じます。

なぜなら脳は、「自分では状況を変えられない」と認識すると、生存を脅かす状況だと判断しやすくなるからです。

この状態では、危険を察知する役割を担う扁桃体の活動が高まり、交感神経が優位になりやすくなります。

すると、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が続き、心拍数や血圧が上がり、身体は「戦うか逃げるか」という警戒モードに入ります。

本来であれば問題が解決した後にこの反応は落ち着きます。

しかし、「逃げられない」「選べない」という状態が続くと、脳は危険が去っていないと判断し続けるため、警戒モードが解除されにくくなります。

その結果、

  • 疲れが取れない
  • 眠れない
  • 不安が続く
  • イライラしやすい

    といった不調につながっていくのです。

    脳に安心安全を感じるための条件はこちらの記事がわかりやすいです。

脳は「選択肢がない」と認識するとストレスを感じる

ここで重要なのは、「選べないこと自体」がストレスなのではなく「状況を自分では変えられない」と脳が認識することがストレスになるということです。

これは心理学でいう「学習性無力感(Learned Helplessness)」とも関係しており、動物実験でも、自分で状況をコントロールできない環境では、ストレス反応が強くなることがわかっています。

一方で、「ボタンを押せば止められる」「いつでも逃げられる」といったコントロール感があるだけで、実際には使わなくてもストレス反応は軽減することが知られています。

例えば、「この仕事を辞めたい」と思っていたとして、「辞めるという選択肢もあるけれど、今は続けることを選んでいる」のであれば、多少大変でも心は安定しやすくなります。

でも、「辞めたいけど辞められない」「逃げ場がない」と感じている場合、脳は危険を察知するというわけです。

つまり、脳が苦しむのは、仕事そのものではなく、『選択肢がない』と認識している状態だと言えます。

脳が求めているのは「コントロール感」

ここでいうコントロール感とは、すべてを自分の思い通りにすることではありません。

世の中には、自分の力や裁量ではどうしようもないことって沢山ありますよね。

天気を変えることはできませんし、他人の気持ちを変えることもできません。

社会の風潮や流れを、100%自分の思い通りにすることはできないことです。

しかし、

  • どう受け取るか
  • どう行動するか
  • 何を大切にするか

これらは自分で選ぶことができます。

脳が安心するのは、世界を支配できる時ではなく、「自分には選択権がある」と感じられる時なのです。

大切なのは選択肢に気づくこと

先ほど、「仕事を辞めたい」という例を出しましたが、この内容をもう少し深堀してみます。

「仕事を辞めたい」と思った時に多くの人は人が

  • 辞める
  • 我慢する

という二択で考えてしまいます。

しかし実際には、

  • 転職活動を始める
  • 副業を始める
  • 異動願いを出す
  • 資格取得をする
  • 働き方を変える
  • 休職を検討する
  • 1年後に辞める計画を立てる

など実は様々な選択肢があるのです。

重要なのは、今すぐ行動することではなく「選択肢は常に存在する」ということを脳が認識することです。

選択肢を増やすための簡単な方法

もし今、「もうどうにもならない」と感じているのであれば、一度紙に書き出してみてください。

テーマは一つだけです。

「本当に二択しかないだろうか?」

そう自分に問いかけながら、思いつく選択肢を10個書いてみます。

実現できそうかどうかは考えなくて構いません。

例えば、

  • 誰かに相談する
  • 有給を取る
  • 部署異動を希望する
  • 転職サイトを見るだけ
  • 1年後の退職を目標に貯金する
  • 週末だけ副業を始める
  • カウンセリングを受ける
  • 働き方を上司に相談する
  • まずは一週間休む

など、小さなことでも十分です。

不思議なことに実際に行動しなくても、「選べる道がある」と脳が認識するだけで、心に余裕が生まれることがあります。

これは、コントロール感が回復し、脳の警戒モードが少しずつ和らいでいくためです。

受講生の事例|転職活動を始めるだけで不眠が改善

ここで、転職活動を始めただけで不眠症が改善した受講生の例をお話しします。

以前、慢性的な不眠に悩んでいた受講生がいました。

その方は「今の仕事を辞めたい。でも生活のことを考えると辞められない。」

そんな思いを何年も抱え続けていました。

夜になると仕事のことばかり考えてしまい、布団に入っても頭が休まらず、眠れない日が続いていたそうです。

そこで私がお伝えしたのは、「今すぐ辞めなくてもいいので、まずはどんな選択肢があるのか紙に書き出してみませんか?」とお伝えしてみたのです。

そして、「実際に転職するかどうかは、今の時点では決めなくて大丈夫です。紙に書き出して、まずは求人を見たり、色々な働き方があることを知ってみてはどうでしょう?」

こうもお伝えさせてもらいました。

すると数週間後、その受講生からこんな言葉をいただきました。

「先生、まだ会社は辞めていないんです。でも、不思議と夜眠れるようになってきました。」

もちろん、不眠の原因は一つではなく、食事や運動、ストレス、人間関係など、さまざまな要因が重なって起こります。

しかし、この方の場合は、「辞められない」という感覚が「辞めようと思えば辞められる」に変わったことが大きな転機になったように思います。

現実は何も変わっていません。
職場も同じですし、仕事内容も変わっていません。

それでも脳は、「いつでも別の道を選べる」と認識したことで、警戒状態を少しずつ解くことができたのでしょう。

今の状況を無理に受け入れる必要はない

ここで誤解しないでいただきたいことがあります。

この記事は、「今の現状をポジティブに解釈しましょう」とか、「どんな状況でも受け入れましょう」という話ではありません。

もし今の職場が苦しいのであれば、苦しいと感じていいのです。

もし今の人間関係に違和感があるのであれば、その違和感を無視する必要もありません。

大切なのは無理に前向きになることではなく、自分には選択肢があることを思い出すことだけなのです。

実際に環境を変えるかどうかは別問題で、どれが正解というわけではありません。

しかし、「辞められない」「逃げられない」「我慢するしかない」と思っている状態と、「選ぶことはできる」と思えている状態では、脳が感じるストレスは大きく変わります。

繰り返しですが、無意識が安心するのは、現状が理想的になった時ではなく、『自分には選択権がある』と感じられた時なのです。

茶瞑想でコントロール感を取り戻す方法

紙に書き出す方法以外に有効なのが、茶瞑想研究家の依田恭平が体系化した茶瞑想(ティーメディテーション/Tea Meditation)です。これは、茶を淹れ、味わう一連の所作を通じて五感を使い、思考を鎮めながら心と身体を整える瞑想法です。

茶瞑想の詳細はこちら

現代人は知らず知らずのうちに、選択権を他人に渡してしまいがちです。

スマートフォンの通知が鳴れば反応し、SNSを開けば次々と流れてくる情報に意識を奪われます。

仕事ではメールやチャットに追われ、自分のペースではなく、誰かの都合に合わせて一日が進んでいくことも少なくありません。

つまり、「自分で選んでいるつもり」ようで、いつの間にか「選ばされている状態」になっているのです。

だからこそ、意識的に「自分で選ぶ時間」を作ることが大切になります。

その方法の一つが茶瞑想です。

茶瞑想では、

  • 今日のお茶を選ぶ
  • お湯を沸かす
  • 茶葉の香りを感じる
  • お湯を注ぐ
  • 湯気を眺める
  • 一口ずつ味わう

こうした一つひとつのことを、自分の意思で行います。

この「自分で選ぶ」という小さな積み重ねが、脳に「私は自分で行動を選べている」という感覚をインプットしてくれるのです。

また、茶瞑想では“五感を使うこと”で、過去や未来ではなく「今、この瞬間」へと意識が戻ってきます。

すると、常に警戒モードだった脳が少しずつ落ち着き、自分自身とのつながりも取り戻しやすくなります。

こうして、自分の内側に「選べる」という感覚が養うことで、物事を客観的に見れるようになるので、これまでには気づかなかった、選択肢に気づきやすくなるのです。

何より、忙しい日常の中で一度立ち止まり、自分のために与える時間にもなるのが茶瞑想の素晴らしい点です。

人生の選択権を外側ではなく
自分の手元へ戻す時間

その小さな積み重ねが、脳に安心感をもたらし、自分らしい選択ができる土台を育てていくのです。

茶瞑想に関するエビデンスや根拠はこちらの記事をご覧ください。

まとめ|安心とは選択肢が見えていること

私たちは、すべてをコントロールできる時に安心するのではありません。

本当に安心するのは、「自分には選択権がある」と感じられる時です。

不眠や慢性疲労、仕事も、人間関係も、人生も
現実そのものではなく「選べない」と思い込んでいることが原因です。

だから疲れた時こそ、一度立ち止まってみてください。

「本当に選択肢はないのか?」

こんな風に問いかけてみましょう。

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