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コラム

茶瞑想コラム
2026年4月30日(木)

茶瞑想って本当に効果あるの?科学的に解説【五感と脳の仕組み】

依田 恭平
記事の監修・執筆者

依田 恭平(よだきょうへい)
国際薬膳茶師/茶瞑想研究家

思考を整える「茶瞑想」と身体を整える「薬膳」から、心身のバランスを整える専門家。

埼玉県所沢市出身。柔道整復師として都内の治療院で臨床経験を重ねた後、国際薬膳専業資格評審会認定「国際薬膳茶師」の資格を取得。薬膳茶の知見をもとに、3歳から101歳まで幅広い世代の健康相談に携わる。その数述べ52000名を超える。その中で、多くの人が整えようとするほど考えすぎてしまうことに気づく。思考から離れ、五感を通して感覚に戻る方法として「茶瞑想」を体系化。

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茶瞑想に効果はあるのか?五感と脳科学から見る整う仕組み

茶瞑想研究家
国際薬膳茶師の依田恭平です。

「茶瞑想って、なんとなく良さそうだけど…」
「実際のところ、本当に効果はあるの?」

こんな疑問や質問を多くいただきます。

特に「五感を使う」という言葉は、どこか抽象的で科学的な根拠が曖昧に感じられることもあります。

そこでこの記事では、茶瞑想の効果を五感と脳の働きという観点から整理していきます。

茶瞑想は“雰囲気”ではなく、感覚と神経の仕組みに沿った整え方です。

そもそも茶瞑想ってなに?

茶瞑想研究家の依田恭平が体系化した茶瞑想(ティーメディテーション/Tea Meditation)は、茶を淹れ、味わう一連の所作を通じて五感を使い、思考を鎮めながら心と身体を整える瞑想法です。

※茶瞑想の詳細はこちらで解説しています

茶瞑想とは|思考を整える新しい習慣

 

茶瞑想の必要性|現代人が抱える脳の過剰活動

茶瞑想は単なるリラックス法ではなく、五感に自然と働きかける設計の瞑想法です。

私たちは普段、考えることによって物事を処理しています。

ですが、この「考える」という行為は、同時に脳に負担をかけ続ける行為でもあります。

しかも、仕事や勉強など意識的に脳を使っているときだけでなく、ぼーっとしているときでさえも、私たちの脳は絶えず働いているのです。

この“何もしていないように感じる時間”に活動しているのが、デフォルトモードネットワーク(DMN)と呼ばれる脳のネットワークです。

このネットワークは、

  • 過去の出来事を振り返る(意味づけ)
  • 未来の予定や不安(リスク)を考える
  • 自分について考える(内省)
  • 他人との関係性を想像する

といった働きを担っています。

つまり、何もしていないように感じていても、頭の中では思考が巡り続けている状態です。

もちろん、これらは人間にとって必要な働きです。

ですが、この状態が続きすぎると、頭の中は常に忙しくなり、気づかないうちに疲れが溜まっていきます。

特に現代人は、仕事や家事、育児など、さまざまな役割を同時に抱えながら日々を過ごしています。

やることに終わりが見えず、思考は常に先へ、未来へと向かい続ける。

その結果、脳は休まる時間を失い、いわゆる“脳疲労”の状態になりやすくなります。

こうした状態が続くと、

  • 慢性的な疲労感
  • 寝ても回復しない
  • 集中力の低下
  • 不安や思考のループ
  • イライラしやすくなる

といった不調につながるケースも少なくありません。

だからこそ、意識的に“思考から離れる時間”を持つことが重要になります。

五感は“思考”ではなく“身体”に働きかける

では、どうすれば思考から離れることができるのでしょうか。

ここで重要になるのが五感です。

香りや温度、味といった感覚は、思考とは少し違う経路で処理されます。

考える前に、身体が受け取る。

これが大きなポイントです。

五感に意識を向けることで、思考中心の状態から、身体感覚へと自然に移ることができます。

言い換えると、過剰に働いていた思考の回路から、少し距離が取れる状態になるのです。

この“距離が取れる”という状態になることで、物事をより客観的に見られるようになり、

感情や思考に飲み込まれにくくなります。

人の脳が疲弊する理由の一つに、“主観の中で考え続けてしまう”ということがあります。

私たちは何かを考えるとき、その出来事そのものではなく、

「どう思うか」

「どう感じるか」

「どうなるのではないか」

といった解釈を重ねながら思考を巡らせています。

つまり、事実そのものではなく、自分の内側で作られた世界の中で考え続けている状態です。

この状態が続くと、同じ思考を繰り返したり、不安が膨らんだりと、思考のループが起きやすくなります。

一方で、事実と自分を少し切り離し、物事を客観的に見られるようになると、

思考との距離が生まれ、必要以上にエネルギーを使わなくなります。

茶瞑想はこの切り替えを無理に行うのではなく、五感を通して自然に起こすことができる方法です。

五感はどのように脳に働くのか|感覚ごとに見る整う仕組み

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ここまで、五感が思考ではなく身体に働きかけることを書きました。

次は実際に、それぞれの五感がどのように脳や身体に作用しているのかを見ていきます。

茶瞑想では、香り・温度・味・視覚・聴覚、そして所作といった複数の感覚を同時に使います。

◯嗅覚|香りは感情と記憶に直接届く

五感の中でも、嗅覚は少し特殊な感覚です。

香りの情報は、視床を経由せず、感情や記憶に関わる領域である大脳辺縁系(特に扁桃体・海馬)に直接伝わることが知られています。

このため、香りは“頭で考える前に”感情や身体反応を引き起こします。

実際に、香り刺激によって自律神経活動が変化し、リラックス状態に傾くことが示された研究もあります。

つまり、「いい香りだな」と感じる前に、すでに身体や感情に変化が起きているということです。

茶瞑想では、茶葉にお湯を注いだ瞬間に立ち上る香りや、湯呑みに顔を近づけたときの香りを感じる場面で、この働きが起きています。

参考元:Herz, R. S. (2004)

A naturalistic analysis of autobiographical memories triggered by olfactory visual and auditory stimuli

◯触覚・温度|身体は触れることで安心する

温かい器に触れる。
湯気のぬくもりを感じる。

こうした触覚や温度の刺激は、
副交感神経の働きを高め、身体をリラックス状態へと導きます。

触覚刺激は、オキシトシンの分泌やストレス軽減とも関連しているとされており、
“安心感”を生む重要な感覚です。

人は温かいものに触れると、自然と力が抜けやすくなります。

これは、身体が「安全な状態」と認識するためです。

茶瞑想では、湯呑みを手に持ったときの温かさや、手のひらに伝わる感触を感じる場面で、この働きが起きています。

参考元:Field, T. (2010)

Touch for socioemotional and physical well-being: A review

◯味覚|意識を外から内へ戻す

味わうという行為は、
意識を身体の内側へ向ける働きがあります。

このとき関わるのが「内受容感覚(インターセプション)」です。

内受容感覚は、心拍や呼吸、消化など、
身体内部の状態を感じ取る感覚であり、自己認識や情動と深く関係しています。

味、温度、舌触りといった感覚に注意を向けることで、
外界ではなく内側への意識が強まり、思考との距離が生まれます。

茶瞑想では、一口ずつお茶をゆっくり味わい、温度や風味、口の中に広がる感覚を感じ取る場面で、この働きが起きています。

参考元:Craig, A. D. (2002)

How do you feel? Interoception: the sense of the physiological condition of the body

参考元:Damasio, A. (2010)

Self Comes to Mind: Constructing the Conscious Brain

◯視覚|変化を観ることで思考の流れが止まる

立ち上る湯気の揺れ。
ゆっくりと広がる色の変化。

こうした“ゆらぎ”のある視覚刺激は、
注意を自然に引きつけ、過剰な思考の流れを一時的に遮断します。

視覚に意識を向けることは、
マインドフルネスの研究でも「注意の再定位」として扱われており、
思考のループを断ち切る働きがあるとされています。

茶瞑想では、お湯を注いだときの動きや、湯気のゆらぎ、茶の色の変化をただ観る場面で、この働きが起きています。

参考元:Posner, M. I., & Petersen, S. E. (1990)

The attention system of the human brain

◯聴覚|音は意識を“今ここ”に引き戻す

お湯を注ぐ音。
器に触れるわずかな音。

こうした音刺激は、
注意ネットワークを活性化し、現在の感覚へと意識を戻します。

特に、一定ではなく変化する音は、
脳の注意機構を適度に刺激し、思考の拡散を抑える働きがあります。

そのため、集中しようとしなくても、
自然と「今」に意識が戻る状態が生まれます。

茶瞑想では、湯を沸かす音、注ぐ音、湯呑みを置くときの音、静かな空間の中にある微細な音に意識を向ける場面で、この働きが起きています。

参考元:Snyder, J. S., & Large, E. W. (2005)

Gamma-band activity reflects the metric structure of rhythmic tone sequences

◯所作|決まった流れが脳の負担を減らす

もう一つ重要なのが、所作です。

茶瞑想では「お湯を沸かす、注ぐ、味わう」といった一連の流れに身を委ねることで、「考えなくても進む状態」が自然に生まれます。

この一連の動きは「手続き記憶(procedural memory)」によって処理されます。

手続き記憶に基づく行動は、前頭前野の負担を減らし、意思決定のエネルギー消費を抑えることが知られています。

つまり、「何をするか」を考え続ける必要がなくなることで、脳の疲労が軽減されるのです。

そして、ここでもう一つ大切なのが「動作の速さ」です。

ゆっくりとした動作によって注意が高まり、身体感覚への気づきが深まることは、マインドフルネスや身体意識に関する研究でも示されています。

逆に普段通りのスピードで動いてしまうと、無意識のまま流れてしまい、感覚に意識が乗りにくくなります。

ゆっくり動くということは、「今この動きに気づく」ための余白を作るということでもあります。

その結果、思考ではなく感覚に意識が向きやすくなり、より深く整う状態へと入りやすくなります。

参考元:Kabat-Zinn, J. (1990)

Full Catastrophe Living: Using the Wisdom of Your Body and Mind to Face Stress, Pain, and Illness

参考元:Posner, M. I., & Petersen, S. E. (1990)

The attention system of the human brain

参考元:Shusterman, R. (2008)

Body Consciousness: A Philosophy of Mindfulness and Somaesthetics

参考元:Graybiel, A. M. (2008)

Habits, rituals, and the evaluative brain

結論|茶瞑想は五感を通じて、思考から身体へ戻る方法

ここまで見てきたように、茶瞑想は

  • 嗅覚 → 感情・記憶
  • 触覚 → 自律神経
  • 味覚 → 内受容感覚
  • 視覚・聴覚 → 注意制御
  • 所作 → 前頭前野の負荷軽減

といった、複数の神経メカニズムに基づいて構成されています。

つまり、茶瞑想は「なんとなく整う」のではなく、神経の働きと脳科学として、整いやすい状態を作っているということです。

それぞれが、思考ではなく身体の感覚へと意識を戻す役割を持っていて、茶瞑想の効果は、「何か特別なことをしているから」ではなく、「本来の感覚を使っているから」起きていると言えます。

整えるとは、何かを新しく手に入れることではなく、本来の自分に戻ること。

茶瞑想は、そのためのシンプルな方法の一つです。

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