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茶瞑想のやり方を詳しく解説

茶瞑想のやり方を詳しく解説

茶瞑想研究家
国際薬膳茶師の依田恭平です。

「茶瞑想ってどうやるの?」
「難しそうだけど、初心者でもできる?」

こういった質問をよくいただきます。

結論から言うと、茶瞑想はただお茶を飲むだけなので、とても簡単です。

しかし、その「ただ」の中に思考を整えるための大切な要素が含まれています。

この記事では、茶瞑想の具体的なやり方とともに、なぜ整うのかまで丁寧に解説していきます。

茶瞑想とは何か

他の記事でも紹介しているので、ここでは簡単に茶瞑想とはをおさらいです。

茶瞑想とは、茶瞑想研究家の依田恭平が体系化した茶瞑想は、茶を淹れ、味わう一連の所作を通じて五感を使い、思考を鎮めながら心と身体を整える瞑想法です。

心と身体を整える方法として、瞑想やマインドフルネスが有名ですが、茶瞑想はこれらのように「思考を止める」「意識を集中させる」のではなく、五感に意識を委ねることで、自然と思考を静めることができるのが特徴です。

より詳細に茶瞑想について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

茶瞑想とは|思考を整える新しい習慣

 

茶瞑想はどんな人におすすめできる?

  • ・考えすぎて疲れてしまう
  • ・頭が休まらず、常に何かを考えている
  • ・不安やモヤモヤが頭から離れない
  • ・リラックスしたいのに、うまく力が抜けない
  • ・瞑想やマインドフルネスが続かなかった

こういった状態の人ほど、「脳を休ませるために、思考を止めよう」とするのは簡単ではありません。

その点、茶瞑想は先述した通り、思考をコントロールするのではなく、五感に意識を委ねることで、自然と思考と距離を取る方法なので…

  • ・休むことが苦手な人
  • ・急かせかしている人
  • ・忙しくて頭がいっぱいな人

こんな人ほど、取り入れやすいのです。

また、

  • ・日常の中で整う時間をつくりたい
  • ・自分に戻る習慣を持ちたい

という方にもとても相性が良い方法と言えます。

茶瞑想の基本のやり方

それでは、ここから具体的な手順を解説していきます。

まず、茶瞑想の心構えとして大切なことは、「正しくやること」ではなく、「意識の向け方」です。

五感に意識を向けること。

そして、所作を通して、思考ではなく感覚を意図的に使うこと。

この2つが、茶瞑想の本質です。

準備

道具の準備

まず、道具を揃えましょう。

揃えると言っても、茶瞑想を行うにあたって、必要な道具はシンプルです。

普段あなたがお茶を飲む際に使っているものがあれば良いので、最低限下記の内容があれば大丈夫です。

  • ・お茶(内容は何でもOK)
  • ・お湯
  • ・カップや湯呑み

これだけで始めることができますが、もし余裕があれば、

  • ・急須
  • ・茶器(お気に入りの器)
  • ・茶筅(抹茶を点てる場合)

この辺の道具も揃えることができると、より本格的に楽しめます。

ただし、繰り返しですが、最初から完璧に揃える必要はなく、今あるもので十分です。

環境を整える

まずは、落ち着ける環境に移動します。

必ずしも静かな場所である必要はありません。
むしろ多少音があっても大丈夫です。

大切なのは「よし、今から茶瞑想をしよう!」と自分の中で意識を切り替えられる場所であれば、問題ありません。

そして、五感に意識をしようするために下記の3つは守れると良いでしょう。

  • ・スマホを通知OFFやマナーモードにする
  • ・照明を少し暗くする(夜間であれば白色灯より、赤色系の色にしましょう)
  • ・椅子に深く座る

なぜ、環境を整えることが重要なのかというと、脳には「可塑性(かそせい)」といって、使えば使うほど神経回路が強化される仕組みがあるからです。

つまり、茶瞑想は回数を重ね、繰り返し行うほど、五感に意識を向けることが簡単になるのです。

最終的には「茶瞑想をやろう」と思って、いつもの環境に移動するだけで、脳のスイッチが自然と

“五感優位の状態”に切り替わるようになっていくのです。同じ場所、同じ流れで行うことで、その一連の動き自体が、心と身体を整えるスイッチになるというわけです。

ですので、環境を整えることは単なる事前準備ではなく、茶瞑想を“儀式にする”ための行為でもあるのです。

茶瞑想におすすめの場所

茶瞑想を行う際に特別な場所に、わざわざ赴く必要がありません。

むしろ大切なのは、どこでやるかではなく、どう意識を向けるかです。

そのうえで、時にはいつもと異なる場所で行う場合もありますし、気分転換に自然の中で行うなど、いつくか想定されるシチュエーションはあるので場所を紹介します。

◯自宅(最もおすすめ)

まずは自宅です。

一番リラックスできる環境であり、習慣化しやすいのが特徴です。

朝起きてすぐや、夜寝る前の時間に取り入れるなど、環境の条件を自分でコントロールしやすいので、基本は自宅になるでしょう。

先述した通り、同じ時間、同じ環境化で行うのがポイントです。

◯カフェ(あえて少し騒がしい場所)

意外かもしれませんが、カフェもおすすめです。

周りに人の声や音がある環境でも、お茶の香りや温度に意識を向けることで、「外の音があっても整う」感覚を体験できます。

私も普段茶瞑想を自宅で行なっているのですが、たまに外で行うと「外でも五感に入りやすくなってるな」と上達しているのがわかりますし、日常の中でも使える状態をつくる練習にもなります。

あとは、カフェでしか飲めないブレンド茶やコーヒーなどもあるので、気分転換にたまにはカフェで行うのも良いでしょう。

◯自然の中(公園・海・山など)

公園や海、山などの自然の中も、とても相性が良い場所です。

風の音や光、空気の感覚などが加わることで、より深く五感が開いていきます。

自然の環境をお借りするイメージです。

私は定期的にリトリートを行うのですが、壮大な自然の中で行う茶瞑想はとても気持ちよく、効果も絶大です。

終わった後のスッキリ感や、やっている最中にインスピレーションももらえるので、たまにはあえて旅に行き、茶瞑想を日程の中に組み込むと良いですね。

普段とは違う壮大な自然の中で行うと思考が一気に緩みます。

◯仕事の合間(デスク・オフィス)

実は仕事の合間にも茶瞑想はおすすめです。

デスクでお茶を一杯飲む時間を、少しだけ五感に意識を向けてみる。

それだけでも、思考のリセットや集中力の回復につながります。

長時間集中しているときほど、短く“戻る時間”を挟むことで、その後のパフォーマンスが変わってきます。

元々、瞑想というもの自体、10数年前にGoogleやAppleといった企業が社員研修に取り入れたことで一気に広がった背景があるので、そもそも仕事のパフォーマンスアップという意味では、オフィスで習慣化するのはとても良い案です。

茶瞑想実践の手順

ではここから、実際の茶瞑想のやり方を書いていきます。

手順1 お茶を淹れる(視覚・聴覚・触覚・所作)

湯を沸かし、茶葉を入れ、注ぐ。

この一連の流れの中で下記を意識してみましょう。

  • ・湯が沸く音に耳を澄ませる(聴覚)
  • ・茶葉が開く様子、色の変化、湯気の立ち方を目で追う(視覚)
  • ・器の重さを感じ、温かみを感じる(触覚)

視覚、聴覚、触覚をどの順番に行なっても大丈夫です。

忙しい場合、全ての五感を使えなくても構いません。

重要なのは“やること”ではなく、“感じる”ことです。
普段使わない五感に注意を向けていきましょう。

決まった流れに身を委ねることで、脳は「判断」から解放されていきます。

手順2 香りを感じる(嗅覚)

茶葉が開いたら、飲む前に香りを楽しみましょう。

ゆっくりと鼻から吸い込む。
肺に入れていくイメージです。

このとき、「いい香りだな」くらいで十分です。
評価や分析は必要ありません。

嗅覚は感情や記憶と深く結びついているため、
思考は自然と緩み始めます。

手順3 味わう(味覚・触覚〈内受容感覚〉)

次に一口ゆっくりと飲みます。

  • ・温度
  • ・舌触り
  • ・喉を通る感覚

これらを感じていきましょう。
また、飲んだ茶が体の中に落ちていく感じも追っていってください。

身体の内側の感覚、触覚(内受容感覚)に意識を向けます。

こうやって“内側への注意”を向けることで、「あ、今って体が冷えてるだ」とか「何だか胃腸が疲れてるかも」など、思考を使うだけでは今まで気づけなかった体の変化に気付けるようになります。

手順4 余韻を感じる(静けさ・全体の感覚)

飲み終わった後、すぐに次の動作に移らず、少しだけ余韻を感じます。

  • ・口の中に残る感覚
  • ・呼吸のリズム
  • ・身体全体の落ち着き

ここでは、特定の感覚ではなく全体の状態を感じます。

このとき、

「少し落ち着いたな」
「さっきより静かかも」

といった変化に気づくことができるでしょう。

思考を使っている間は、脳が忙しく埋もれている感情や、閃きが降りてくることもあるので、ぜひそういったことはメモに残しておくのも良いです。

この状態が“整う”という感覚です。

ちなみに、これは私自身の実感でもあるのですが、茶瞑想のあとに、瞑想やマインドフルネスを行うと、とても集中しやすくなります。

茶瞑想によって、既に思考と距離が取れた状態ができているため、そこから行う瞑想は、
無理に集中しようとしなくても入りやすいのです。

あまりにも集中できたため、驚きと同時に思考が静まる感覚が大好きで、「うまくできたな」という感覚が実感できます。

このように、茶瞑想そのものを目的にするだけでなく、瞑想やマインドフルネスの前段階として位置づけるのも、とてもおすすめの使い方です。

茶瞑想をやるうえでの2つのポイント

ここまで基本の手順を解説しましたが、2つポイントがあります。

ポイント1 全ての五感を使わなくてもOK

1つ目のポイントは、必ずしもすべての工程を均等にやる必要もない
し、その時使わない五感があっても構わないということです。

茶瞑想は「順番通りにきちんとやること」よりも、どこか一つの感覚に深く入れたらそれで良いのです。

例えば、

  • ・今日は香りをじっくり味わう
  • ・今日は温度や喉を通る感覚に集中する
  • ・今日はお茶を淹れる所作そのものに没入する

このように、五感の中のどこか一つに自然と意識が向いたなら、そこに留まって大丈夫です。

もちろん、時間が許す限り丁寧に全ての五感に意識を向けるのも良いのですが、「全部ちゃんとやらないといけない」と思うほど、思考が働いてしまい、整いにくくなります。

何より、せっかくのお茶の時間が「面倒な時間」「努力が必要」という認識になってしまうのは勿体ないですよね。

茶瞑想の本質は、五感を使って“今ここ”に戻ることです。

あなたにとって、やりやすい形が作れたらそれで良いのです。

ポイント2 動作はゆっくり行う

2つ目のポイントは、一つひとつの動作をゆっくり行うことです。

茶道を所作に習うように、あえて動作をゆっくりにすることで、

  • ・お湯の音
  • ・湯気の動き
  • ・手の感覚

といった五感の情報に気づきやすくなります。

また、動作のスピードを落とすことで思考のスピードも自然と緩み、意識が外側から内側へと移りやすくなります。

これは、注意の向け先が切り替わることで、過剰な思考状態から距離を取りやすくなるためです。

大切なのは、無理にゆっくりやることではなく、少しだけ丁寧に動くことです。

この“ゆっくりとした所作”が茶瞑想を整える時間へと変えていきます。

なぜこのやり方で整うのか?

「やり方はわかったけど、本当にお茶を飲むだけで整うの?」
「これってエビデンスあるんですか?」

こんな風に思われる方もいるかと思います。

茶瞑想は単なるリラックス法ではなく、五感+所作を組み合わせた思考から感覚へ注意を移すことができる瞑想法です。

今回お伝えした茶瞑想のやり方や手順は、茶瞑想研究家の依田恭平が五感や脳科学、茶道の観点を研究して独自に考案した内容です。

この辺りは多くの科学的根拠が証明されているので、詳細が気になる方はこちらの記事を読んでみてください。

茶瞑想って本当に効果あるの?科学的に解説【五感と脳の仕組み】

 

茶瞑想を続けるコツ

「脳には可塑性があるので、続ければ続けるほど整いやすくなる」という話は先ほど書かせてもらいました。

ですので、ぜひあなたも茶瞑想を習慣にしていただきたいと思います。

そこで、心構えとして下記を意識してもらえると良いでしょう。

  • ・1日1回でいい(できるなら何回でもOK)
  • ・時間は3分でもいい
  • ・完璧にやろうとしない

特に大事なのは「整えようとしないこと」です。

「整えよう」とすると、そこにはまた思考が働きます。

ただ、お茶を飲む時に、ちょっと五感に意識を向けてみる。
それだけで十分です。

そして、私が茶瞑想研究家として続けるうえで大切にしていることが“楽しめる形をつくること”です。

茶瞑想の目的は、確かに整えるためにやるものですが、続けるためには「心地よさ」や「楽しさ」もとても重要です。

例えば、

  • ・自分の気分や目的に合わせてお茶を変える
  • ・抹茶を茶筅で立てる時間を楽しむ

など、こうした一工夫も立派な続けるコツになるでしょう。

あとは、これは私自身の楽しみ方でもあるのですが、お気に入りの茶器や道具を使うことは楽しいですね。

焼き物の器は一つひとつ手触りが違い、形や重みも微妙に異なります。

私はよく百貨店やギャラリーで、作家さんの器を見て購入するのですが、お気に入りのものが手に入ると、自分の中で愛着のある道具が増えていくので、気持ちが良いのです。

美味しいお茶を、お気に入りの器で飲むという、過程がまた楽しみのひとつに変わるので、「整えよう」と意気込んで行うよりも、あなた独自の楽しみ方を見つけると良いかもしれません。

「楽しい」という感覚は東洋医学でいうところの、”気”の観点でもとても良いことで、心の栄養にもなりますから。

よくある質問(FAQ)

Q. 茶瞑想はどのくらいの時間やればいいですか?

目安としては3分程度でも十分です。

茶瞑想は時間の長さよりも、どれだけ感覚に戻れているかが重要です。

一口ゆっくり飲むだけでも、意識が切り替わる感覚は得られます。

Q. 毎回同じ場所でやった方がいいですか?

はい、できれば同じ環境で行うのがおすすめです。

脳には可塑性があり、繰り返すことでその環境と「整う状態」が結びついていきます。

その結果、同じ場所に行くだけで自然と五感に入りやすくなります。

Q. 周りが騒がしくても大丈夫ですか?

初めは落ち着いた環境が望ましいですが、騒がしくてもできるようになっていきます。

茶瞑想は環境を完全に静かにすることではなく、意識の向け先を変えることが本質です。

音があっても、五感に意識を向けることで自然と気にならなくなっていきます。

むしろ、瞑想やマイドフルネスをやったことがない人なら、少し物音がする環境の方がやりやすい場合もあります。あまりに静かで無音に近い環境だと、自分の頭が騒がしく感じたりするためです。

Q. うまくできているか分かりません

「少し落ち着いた」「なんとなくスッキリした」


その感覚があれば、すでにできています。
茶瞑想に正解はありません。

うまくやろうとするよりも、

感じることに意識を向けることが大切です。

あとは、どちらかというと五感という感覚を使う時間を1日の中に入れることが重要です。

私たちは様々な役割、責任、他人の期待の中で生きており、これは自分の心地よいペースとは往々にして逆なことが多いです。

ですので、「自分のペースに戻るために、自分に時間を作ってあげる」という意味でも茶瞑想を行なってみたらいかがでしょう。

Q. どんなお茶を使えばいいですか?

基本的には、自分が心地よいと感じるお茶で大丈夫です。

・リラックスしたい

・スッキリしたい

・温まりたい

など、目的に合わせて選ぶのもおすすめです。

Q. 瞑想やマインドフルネスと一緒にやってもいいですか?

むしろおすすめです。

茶瞑想のあとに行うことで、思考が落ち着いた状態から入りやすくなり、集中しやすくなります。

前段階として取り入れることで、瞑想の質も高まりやすくなります。

Q. 毎日やらないと効果はありませんか?

毎日でなくても大丈夫ですが、回数を重ねるほど入りやすくなります。

最初は無理に続けようとせず、気が向いたときに取り入れるくらいで十分です。

 

まとめ|整えるとは本来の自分に戻ること

茶瞑想は、特別な技術ではありません。

お茶を淹れて、香りを感じ、味わう。
その一連の流れの中で、五感に意識を向けていく。

それだけの、とてもシンプルな行為です。

私たちは日常の中で、

役割や責任、評価など、外側の世界に意識を向けている時間が多くなりがちです。

それは必要なことですが、その状態が続くと、少しずつ自分の感覚が分かりにくくなっていきます。

だからこそ、一日の中で一度、意識を内側に戻す時間をつくることが大切です。

茶瞑想は、そのための“入り口”になります。

完璧にやる必要はありません。
長い時間を取る必要もありません。

短い時間でも、
一杯のお茶でもいい。

大切なのは、
五感に意識を向けること。

そして、
少しだけ丁寧に自分を扱うこと。
茶瞑想はそのための時間だと思ってはどうでしょうか。

まずは一杯のお茶から、
静かに自分に戻る時間をつくってみてください。

茶瞑想って本当に効果あるの?科学的に解説【五感と脳の仕組み】

茶瞑想に効果はあるのか?五感と脳科学から見る整う仕組み

茶瞑想研究家
国際薬膳茶師の依田恭平です。

「茶瞑想って、なんとなく良さそうだけど…」
「実際のところ、本当に効果はあるの?」

こんな疑問や質問を多くいただきます。

特に「五感を使う」という言葉は、どこか抽象的で科学的な根拠が曖昧に感じられることもあります。

そこでこの記事では、茶瞑想の効果を五感と脳の働きという観点から整理していきます。

茶瞑想は“雰囲気”ではなく、感覚と神経の仕組みに沿った整え方です。

そもそも茶瞑想ってなに?

茶瞑想研究家の依田恭平が体系化した茶瞑想は、茶を淹れ、味わう一連の所作を通じて五感を使い、思考を鎮めながら心と身体を整える瞑想法です。

※茶瞑想の詳細はこちらで解説しています

茶瞑想とは|思考を整える新しい習慣

 

茶瞑想の必要性|現代人が抱える脳の過剰活動

茶瞑想は単なるリラックス法ではなく、五感に自然と働きかける設計の瞑想法です。

私たちは普段、考えることによって物事を処理しています。

ですが、この「考える」という行為は、同時に脳に負担をかけ続ける行為でもあります。

しかも、仕事や勉強など意識的に脳を使っているときだけでなく、ぼーっとしているときでさえも、私たちの脳は絶えず働いているのです。

この“何もしていないように感じる時間”に活動しているのが、デフォルトモードネットワーク(DMN)と呼ばれる脳のネットワークです。

このネットワークは、

  • ・過去の出来事を振り返る(意味づけ)
  • ・未来の予定や不安(リスク)を考える
  • ・自分について考える(内省)
  • ・他人との関係性を想像する

といった働きを担っています。

つまり、何もしていないように感じていても、頭の中では思考が巡り続けている状態です。

もちろん、これらは人間にとって必要な働きです。

ですが、この状態が続きすぎると、頭の中は常に忙しくなり、気づかないうちに疲れが溜まっていきます。

特に現代人は、仕事や家事、育児など、さまざまな役割を同時に抱えながら日々を過ごしています。

やることに終わりが見えず、思考は常に先へ、未来へと向かい続ける。

その結果、脳は休まる時間を失い、いわゆる“脳疲労”の状態になりやすくなります。

こうした状態が続くと、

・慢性的な疲労感

・寝ても回復しない

・集中力の低下

・不安や思考のループ

・イライラしやすくなる

といった不調につながるケースも少なくありません。

だからこそ、意識的に“思考から離れる時間”を持つことが重要になります。

五感は“思考”ではなく“身体”に働きかける

では、どうすれば思考から離れることができるのでしょうか。

ここで重要になるのが五感です。

香りや温度、味といった感覚は、思考とは少し違う経路で処理されます。

考える前に、身体が受け取る。

これが大きなポイントです。

五感に意識を向けることで、思考中心の状態から、身体感覚へと自然に移ることができます。

言い換えると、過剰に働いていた思考の回路から、少し距離が取れる状態になるのです。

この“距離が取れる”という状態になることで、物事をより客観的に見られるようになり、

感情や思考に飲み込まれにくくなります。

人の脳が疲弊する理由の一つに、“主観の中で考え続けてしまう”ということがあります。

私たちは何かを考えるとき、その出来事そのものではなく、

「どう思うか」

「どう感じるか」

「どうなるのではないか」

といった解釈を重ねながら思考を巡らせています。

つまり、事実そのものではなく、自分の内側で作られた世界の中で考え続けている状態です。

この状態が続くと、同じ思考を繰り返したり、不安が膨らんだりと、思考のループが起きやすくなります。

一方で、事実と自分を少し切り離し、物事を客観的に見られるようになると、

思考との距離が生まれ、必要以上にエネルギーを使わなくなります。

茶瞑想はこの切り替えを無理に行うのではなく、五感を通して自然に起こすことができる方法です。

五感はどのように脳に働くのか|感覚ごとに見る整う仕組み

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ここまで、五感が思考ではなく身体に働きかけることを書きました。

次は実際に、それぞれの五感がどのように脳や身体に作用しているのかを見ていきます。

茶瞑想では、香り・温度・味・視覚・聴覚、そして所作といった複数の感覚を同時に使います。

◯嗅覚|香りは感情と記憶に直接届く

五感の中でも、嗅覚は少し特殊な感覚です。

香りの情報は、視床を経由せず、感情や記憶に関わる領域である大脳辺縁系(特に扁桃体・海馬)に直接伝わることが知られています。

このため、香りは“頭で考える前に”感情や身体反応を引き起こします。

実際に、香り刺激によって自律神経活動が変化し、リラックス状態に傾くことが示された研究もあります。

つまり、「いい香りだな」と感じる前に、すでに身体や感情に変化が起きているということです。

茶瞑想では、茶葉にお湯を注いだ瞬間に立ち上る香りや、湯呑みに顔を近づけたときの香りを感じる場面で、この働きが起きています。

参考元:Herz, R. S. (2004)

A naturalistic analysis of autobiographical memories triggered by olfactory visual and auditory stimuli

◯触覚・温度|身体は触れることで安心する

温かい器に触れる。
湯気のぬくもりを感じる。

こうした触覚や温度の刺激は、
副交感神経の働きを高め、身体をリラックス状態へと導きます。

触覚刺激は、オキシトシンの分泌やストレス軽減とも関連しているとされており、
“安心感”を生む重要な感覚です。

人は温かいものに触れると、自然と力が抜けやすくなります。

これは、身体が「安全な状態」と認識するためです。

茶瞑想では、湯呑みを手に持ったときの温かさや、手のひらに伝わる感触を感じる場面で、この働きが起きています。

参考元:Field, T. (2010)

Touch for socioemotional and physical well-being: A review

◯味覚|意識を外から内へ戻す

味わうという行為は、
意識を身体の内側へ向ける働きがあります。

このとき関わるのが「内受容感覚(インターセプション)」です。

内受容感覚は、心拍や呼吸、消化など、
身体内部の状態を感じ取る感覚であり、自己認識や情動と深く関係しています。

味、温度、舌触りといった感覚に注意を向けることで、
外界ではなく内側への意識が強まり、思考との距離が生まれます。

茶瞑想では、一口ずつお茶をゆっくり味わい、温度や風味、口の中に広がる感覚を感じ取る場面で、この働きが起きています。

参考元:Craig, A. D. (2002)

How do you feel? Interoception: the sense of the physiological condition of the body

参考元:Damasio, A. (2010)

Self Comes to Mind: Constructing the Conscious Brain

◯視覚|変化を観ることで思考の流れが止まる

立ち上る湯気の揺れ。
ゆっくりと広がる色の変化。

こうした“ゆらぎ”のある視覚刺激は、
注意を自然に引きつけ、過剰な思考の流れを一時的に遮断します。

視覚に意識を向けることは、
マインドフルネスの研究でも「注意の再定位」として扱われており、
思考のループを断ち切る働きがあるとされています。

茶瞑想では、お湯を注いだときの動きや、湯気のゆらぎ、茶の色の変化をただ観る場面で、この働きが起きています。

参考元:Posner, M. I., & Petersen, S. E. (1990)

The attention system of the human brain

◯聴覚|音は意識を“今ここ”に引き戻す

お湯を注ぐ音。
器に触れるわずかな音。

こうした音刺激は、
注意ネットワークを活性化し、現在の感覚へと意識を戻します。

特に、一定ではなく変化する音は、
脳の注意機構を適度に刺激し、思考の拡散を抑える働きがあります。

そのため、集中しようとしなくても、
自然と「今」に意識が戻る状態が生まれます。

茶瞑想では、湯を沸かす音、注ぐ音、湯呑みを置くときの音、静かな空間の中にある微細な音に意識を向ける場面で、この働きが起きています。

参考元:Snyder, J. S., & Large, E. W. (2005)

Gamma-band activity reflects the metric structure of rhythmic tone sequences

◯所作|決まった流れが脳の負担を減らす

もう一つ重要なのが、所作です。

茶瞑想では「お湯を沸かす、注ぐ、味わう」といった一連の流れに身を委ねることで、「考えなくても進む状態」が自然に生まれます。

この一連の動きは「手続き記憶(procedural memory)」によって処理されます。

手続き記憶に基づく行動は、前頭前野の負担を減らし、意思決定のエネルギー消費を抑えることが知られています。

つまり、「何をするか」を考え続ける必要がなくなることで、脳の疲労が軽減されるのです。

そして、ここでもう一つ大切なのが「動作の速さ」です。

ゆっくりとした動作によって注意が高まり、身体感覚への気づきが深まることは、マインドフルネスや身体意識に関する研究でも示されています。

逆に普段通りのスピードで動いてしまうと、無意識のまま流れてしまい、感覚に意識が乗りにくくなります。

ゆっくり動くということは、「今この動きに気づく」ための余白を作るということでもあります。

その結果、思考ではなく感覚に意識が向きやすくなり、より深く整う状態へと入りやすくなります。

参考元:Kabat-Zinn, J. (1990)

Full Catastrophe Living: Using the Wisdom of Your Body and Mind to Face Stress, Pain, and Illness

参考元:Posner, M. I., & Petersen, S. E. (1990)

The attention system of the human brain

参考元:Shusterman, R. (2008)

Body Consciousness: A Philosophy of Mindfulness and Somaesthetics

参考元:Graybiel, A. M. (2008)

Habits, rituals, and the evaluative brain

結論|茶瞑想は五感を通じて、思考から身体へ戻る方法

ここまで見てきたように、茶瞑想は

  • ・嗅覚 → 感情・記憶
  • ・触覚 → 自律神経
  • ・味覚 → 内受容感覚
  • ・視覚・聴覚 → 注意制御
  • ・所作 → 前頭前野の負荷軽減

といった、複数の神経メカニズムに基づいて構成されています。

つまり、茶瞑想は「なんとなく整う」のではなく、神経の働きと脳科学として、整いやすい状態を作っているということです。

それぞれが、思考ではなく身体の感覚へと意識を戻す役割を持っていて、茶瞑想の効果は、「何か特別なことをしているから」ではなく、「本来の感覚を使っているから」起きていると言えます。

整えるとは、何かを新しく手に入れることではなく、本来の自分に戻ること。

茶瞑想は、そのためのシンプルな方法の一つです。

瞑想やマインドフルネスを習慣にできない理由

瞑想やマインドフルネスを習慣にできない理由

茶瞑想研究家
国際薬膳茶師の依田恭平です。

「瞑想がいいと聞いて、始めてみた」
「マインドフルネスが必要だと思って、取り入れてみた」

「でも、続かなかったんです…」

こんな声を受講生様より沢山いただきます。

本来、瞑想やマインドフルネスは、心や身体を整えるためのもので、私自身瞑想やマインドフルネスは日常に取り入れており、効果や変化は実感しています。

ですが、それと同時に「やれば整うのは分かってるんだけど、忙しい時ほどやる気が起きない…」ということを私も感じたことがあります。

今回の記事では、瞑想やマインドフルネスが続かない理由ついて書き、改善策について書いていきます。

なぜ、瞑想やマインドフルネスは続かないのか?

瞑想やマインドフルネスが続かない理由は、現代人は忙しいからです。

具体的にいうと、現代人は”役割”が多いのです。

仕事、家事、育児、人によっては介護もあるかもしれません。
多様化した現代では、こうやって一人何役もこなすことが当たり前で、1つのことが終わっても、またすぐ次の役割が待っていて、いつまで経っても「終わりが見えない」のです。

つまり、常に頭の中では未来にやるべきことを考えていて、思考はぐるぐる巡っています。

「やれば整う」と思っている瞑想やマインドフルネスは、「今ここに意識を戻す、無になる」という状態を目指すので、そもそも思考過多な状態でやることは難しいのです。

その他にも…

  • ・静かで落ち着いた環境が必要
  • ・ガイドがいないと上手く瞑想状態に入れない
  • ・上達するまでに一定の訓練も必要

こんな理由で続かない人も多いです。

思考を止めようとする。
集中しようとする。
雑念を消そうとする。

整えようとするほど、逆に雑念も湧いてくる。

だから、習慣化が簡単ではないのです。

上手にできているかわからない

ある受講生が、こんな話をしてくれました。

「スクールに通ったので家でも毎朝10分、瞑想をしようと決めたんです。でも、自分でやろうとしたら上手にできているかわからなくて…」

この感覚には、無理もありません。
スクールや習っていた時は、導いてくれるガイドの存在もありますし、瞑想状態に入りやすいBGMや静かな環境があったと思います。

でも、いつもの日常に戻った時に「あれ?これって丈夫にできてる?合ってる?」と不安になってしまうことも多いと思います。

現代の生活は、もともと余白が少ない。
その中で、時間を確保するのも大変な上に、「正しくやらなければいけない」という意識が加わると、それは義務に変わります。

本来は、自分に戻るための時間だったはずなのに、いつの間にか「できていない自分」を感じる時間になってしまうのです。

忙しい人でも茶瞑想なら続く理由

瞑想やマインドフルネスが続かなかった人に試して欲しい方法として、茶瞑想があります。

茶瞑想とは|思考を整える新しい習慣

茶瞑想研究家の依田恭平が体系化した茶瞑想は、茶を淹れ、味わう一連の所作を通じて五感を使い、思考を鎮めながら心と身体を整える瞑想法です。

瞑想やマインドフルネスのように「意識を向ける、無になる」のではなく五感を使うことで、思考ではなく意識を自然と体に向けることができます。

茶の香りを楽しみ
立ち上る湯気の揺れを目で追う

手で器の温度を感じ、一口、味わう。

茶瞑想はこうした所作の一つひとつが自然と五感を使う設計になっています。

つまり、感覚に意識が向くので、思考は自然と静まっていきます。

止めるのではなく、離れていく。
従来の瞑想やマインドフルネスと違いはここにあります。

「茶瞑想なら続く理由はわかったけど、本当に効果あるの?」

こんな風に感じている方も多いと思います。

茶瞑想が整う理由を、五感と脳の働きから整理している記事もあるので、気になる方はこちらをご覧ください。

茶瞑想って本当に効果あるの?科学的に解説【五感と脳の仕組み】

茶瞑想ならできたお客様の体験談

瞑想やマインドフルネスが続かなかった先ほどの受講生に、茶瞑想を実践してもらったところ。

「これならできました。お茶はもともと飲んでいたので、その時間を少し丁寧にするだけでいい。気づいたら続いていました。お茶という意識を集中させる対象があるのもやりやすいですね。」

こんな感想をいただいています。

習慣とは、「頑張って続けるもの」ではなく、いつもの生活を崩さずに「自然に続いてしまうもの」が一番良いのです。

お茶を飲む時間は、すでに日常の中にあるので、その時間を少しだけ丁寧にする。

それだけで成立するのが茶瞑想の大きな魅力です。

時間を確保する必要もなく、正しくやる必要もない。

ただ、感じるだけでいいのです。

整えるとは、本来の自分に戻ること

私たちは日々役割を果たし、誰かの期待に応え、社会の中で生きています。

例えるのなら、これは外側に対応して生きているということで、とても素晴らしいことで、大切なことです。

けれど、この状態が続きすぎると、自分の胸に秘めている願望や本音といった自分の感覚から少しずつ遠ざかっていきます。

この状態が続くと、ストレスや不眠、慢性的な疲労感、気分障害など体調面にも影響が出てきます。

だからこそ、整えるという行為を日常に設けることが大切です。

整えるとは、本来の自分の状態に戻ること。

今の時代に必要なことは、何かを足すことではなく、余計なものを外していくことではないでしょうか。

茶瞑想はその入口として存在します。
特別な場所に行くから整うのではなく、日常の中にそれはあるのです。

一杯のお茶。
その時間に、少しだけ意識を向ける。

それだけで、私たちは思っている以上に静けさに触れることができます。

瞑想やマインドフルネスが続かなかった人ほど、無理のない形で整える方法が必要なのかもしれません。

そのひとつとして、茶瞑想という選択があります。

無理に整えようとせず、ただ、感じることから始めてみる。

そこに、もうすでに整う入口はあります。